アンラッキーなあたし
「お決まりですか?」
妄想の世界の住人になっているうちに、瞬がウェイターを呼んでいた。どうでもいいことだが、ウェイターはじゃがいもにそっくりだった。もしかしたら、狸がじゃがいもに魔法をかけたのかもしれない。
「さくらさん、好きなものを頼んでください。ここは僕のおごりですから遠慮なさらず」
瞬はそう言ったが、あたしはメニューなどちっとも見ていなかった。けど、これ以上待たせたら、優柔不断な女と思われるかもしれない。雑誌か何かで読んだことがある。男の人は女の人に待たされるといらいらするって。
「じゃ、これ」
このさえなんでもいいや、と開いてあるページを指差した。笑顔だった瞬の顔が、かすかに困惑した。
「さくらさん、結構グルメなんだね」
あたしが指差したのは、一日限定10食の一番高いランチのフルコースだった。
「う、うそです。これじゃなくて、ええっと…」
慌てて他のものを頼もうとメニューをめくると、瞬は、「値段なんか気にしないで」とジャガイモウェイターに限定ランチを注文した。
妄想の世界の住人になっているうちに、瞬がウェイターを呼んでいた。どうでもいいことだが、ウェイターはじゃがいもにそっくりだった。もしかしたら、狸がじゃがいもに魔法をかけたのかもしれない。
「さくらさん、好きなものを頼んでください。ここは僕のおごりですから遠慮なさらず」
瞬はそう言ったが、あたしはメニューなどちっとも見ていなかった。けど、これ以上待たせたら、優柔不断な女と思われるかもしれない。雑誌か何かで読んだことがある。男の人は女の人に待たされるといらいらするって。
「じゃ、これ」
このさえなんでもいいや、と開いてあるページを指差した。笑顔だった瞬の顔が、かすかに困惑した。
「さくらさん、結構グルメなんだね」
あたしが指差したのは、一日限定10食の一番高いランチのフルコースだった。
「う、うそです。これじゃなくて、ええっと…」
慌てて他のものを頼もうとメニューをめくると、瞬は、「値段なんか気にしないで」とジャガイモウェイターに限定ランチを注文した。