アンラッキーなあたし
その時だった。突然、ピンポーンとインターフォンが鳴ったのは。

「警察です!」


え?警察?しーんと静まり返った室内には、確かに「警察です」と叫ぶ声が聞こえた。

なんと、警察官がやってきたのだ。もしかして、あたし、助かった?

「警察です、開けてください!」

その声に、アユカと瞬がはっと顔を見合わせる。

「開けてください!」

こちらが黙っていると、インターフォンは何度も鳴らされ、ドアを激しく叩かれた。

「つ、つっちー」

動揺するアユカに、瞬が、「落ち着け」と小声で指示する。そして顎をしゃくりあげた。

「どんなご用件でしょうか?」

アユカはドアを開けずに訊ねた。

これに便乗し、こっそり腰を浮かせたあたしに、瞬は刃物を突きつけた。

「てめぇ、黙って座ってろ」

背中に押し付けられた刃先の感触に、あたしは硬直する。

せっかくの、チャンスが…。
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