アンラッキーなあたし
「それに、もしかしたら俺にも新しい出会いがあるかもしれないし」

千葉がにんまりとする。

結局はそれかい。感動して損した。一瞬でも千葉に感謝した自分が恥ずかしい。この詐欺師の友達め!と、心の中で皮肉ってみる。

「こういうパーティーって男の方が多く集まるから女は選びたい放題だ。桜庭にもチャンスがあるはずだ。頑張れ」

千葉、改め、詐欺師の友達がぽんと肩を叩いた。

へぇ、そうなんだ。まあ、質はとのかく、男の方が多いというだけで有利な感じがする。行ってみようかな?

「それにしてもさ…」

「はい?」

千葉があたしの顔をじっと見つめた。あたしは思わず後ずさる。あの日、千葉に強く抱きしめられ、子供のようにすがって泣いたあたし。千葉の胸は逞しく、温かかった。その記憶が鮮明に甦って、あたしの体が熱を帯びた。

「桜庭、お前さ」

じりじりと千葉がにじり寄る。

な、なに?まさか、欲情したんじゃないでしょうね?そういえば何かの雑誌で、男は三日に一度射精しなきゃ夢精するって書いてあった。あたしと暮らしてからというもの、千葉に女の影はないし、一人で処理しているふうもない。つまり、たまりにたまっている状況なのだ。

この前ちょっとくらいBまで(抱きしめられた)したからって、Cは許さないわよ!

あたしはウルトラマンビームの構えで戦闘態勢を整えた。

さあ、我が鉄のパンツを再び脱がしてみるがいい。できるものならな、ふふふ。

もう、悪党だかヒーローだか変態だかわかりゃしない。
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