アンラッキーなあたし
「は、はい!」

振り返ると、そこにはカピバラそっくりな、ずんぐりした男が立っていた。

「あんのぉ」

え、っと…。

あたしはきょろきょろと周りを見た。

「あんのぉ」

三回目の「あんのぉ」である。確実にあたしに声を掛けていることに気付く。喜ぶ場面であるはずなのに、なぜだか落胆していた。

「よかったら、お話、しませんか?」

カピバラさんは、表情一つ変えず、近くにあったテーブルを指差した。

癒し系アニマルとして名高いカピバラさん。そのカピバラさんに瓜二つだというのに、目の前にいる男はちっとも癒し系ではなかった。むしろ、普通の女子なら嫌悪するような風貌である。

しかし、あたしはワガママを言える立場ではなかた。きっとパピバラさんだって、あたしのことが好きで声をかけたわけじゃない。妥協してあたしに声をかけたのだ。

あたしは、カピバラさんの指定したテーブルに座った。
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