アンラッキーなあたし
「おう、収穫はあったか?」

今の今まで、千葉はあたしのことなど忘れていたに違いない。あたしを守るなんてかっこいいこと言っておきながら、この野郎!

「あたし、あの人に決めました」

「どれどれ?」

「あれあれ」

カピバラさんを一目見るなり、千葉は渋い顔をした。

「オニテンジクネズミって感じだな」

「は?お、おにてんじく?」

「ああ。つまりはカピバラだ」

ええ、カピバラですが。

「なんかぱっとしないけど、それでいいのか?」

だって、彼としか話してないもの。

「でも、もう約束もしたんですよ。カップルになろうねって」

「ふぅん。ま、好みは人それぞれだからな」

まったく好みじゃないけど妥協したんだよ。傷を舐めあうんです。あぶれたくないから。そういう気持ち、千葉にはわからないだろうな。
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