アンラッキーなあたし
「それより千葉さんこそどうするんですか?男性の告白は必須ですよ」

「ああ、あの子に決めたよ」

千葉の指差した方には、あのうさぎちゃんがいた。

やっぱりね。そりゃそうだろう。

「ここだけの話」

千葉が声を潜めた。

「ここだけの話、あの子さくらなんだって」

なんだ、そんなことか。

「ふぅん。別に驚きゃしませんよ。だって、あの子可愛いですもん。男の人に不自由してるわけがないですもん」

「だよな?名前は立花ミズ菜。しかも、23歳。なんでもこのパーティーを企画した会社の社員らしい。目玉商品と社会勉強に送り込まれたんだと」

「へぇ。そんな情報、どこから仕入れたんですか?」

「立花ミズ菜本人からだよ」

「本人ですか?」

「ああ。話してるうちに打ち解けちゃってね。ぶっちゃけられたってわけ。うんざりしてたよ、参加者の質の悪さに」

そこまで本音を語るなんて、つまりは、千葉のことを気に入ったからなのだろう。

「じゃあ、千葉さんたちも話がついてるわけですね?」

「ま、そういうことだ」

千葉はまんざらでもなさそうな顔をしている。

あぁ、間もなく、参加者1の美男美女カップルと参加者1冴えないカップルが誕生するのか。やだな。なんか惨め。今すぐホテルが火事になってくれないかな?そすれば告白タイムがつぶれるのに。

あたしの憂鬱に拍車がかかる。
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