アンラッキーなあたし
だが、しかし、そんなに都合よく火災ベルがなるはずもなく、無常にも告白タイムの時間がやってきてしまった。

「おめでとうございます!カップル成立です!みなさん、拍手をお願いします!」

張り詰めた空気の中で、司会者のおばちゃんのテンションだけがやけに高い。

おばちゃんは、そりゃあ愉快だろう。しょせん人事なのだから。けれど、あたしたち参加者は真剣だ。あたしなんて死活問題である。

「さあ、どんどん盛り上がっていきますよー!」

おばちゃんは片手をかかげ、ラオウのポーズを決めた。いちいちから回りな人である。

ここまでの過程で一つ気づいたことがある。それは、振られる男よりも、誰からも告白を受けない女の方が何倍も惨めだと言う事だ。そっとしといてやればいいものを、おばちゃんは、「○○さんに告白したい人いませんか?どうでしょう?いないんですか?本当に?」などとしつこく食い下がった。そうして、余計に惨めさを際立てるのだ。

もう、なんでこの人が司会者なの?

「では、次いってみよー」

ドリフか!空気を読め!空気を!

やっぱり、これは公開処刑以外の何者でもない。あたしたちは死刑執行を待つ囚人なのだ。

何より辛いのが、あたしの前が、あのウサギちゃん。立花ミズ菜だということだ。この子はたくさんの男に言い寄られ、千葉の手を取る。その直後、あたしとカピバラさんというカップルが成立する。完全に引き立て役、もしくは、オチである。

ああ、やだやだやだー。
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