アンラッキーなあたし
「それでは、次。28番立花ミズ菜さんに告白したい人は前の方へどうぞ」

次、あたしだ…。胃が痛い。

予想通り、たくさんの男たちが動き出した。千葉も一歩踏み出そうとしている。それらを差し置いてトップに躍り出たのは、なんとカピバラさんだ。

…。

え?カピ、バラさん?

あたしとカップル成立の約束をしたはずのカピバラさんは、誰よりも早く、迷うことなく、真っ直ぐに立花ミズ菜目指してやってきた。その姿たるや、赤マントに突進する怒り狂った闘牛のごとし。顔を真っ赤にし、肩をいからせ、鼻息は荒い。

なぜ?どうして?緊張のあまり、あたしの番号と間違えたとか?

はらはらするあたしをよそに、カピバラさん改め、闘牛は、立花ミズ菜の前に立つと、おばちゃんの「告白ターイム!」の合図前に大声で叫んだ。

「第一印象から決めてました。OKもらえるとは思っていません。けど、妥協も後悔もしたくない。気持ちだけは受け取ってください」

ま、松本ぉ!

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