アンラッキーなあたし
「弥生、どうしたんだよ?急に部屋で待ってるなんて…。俺、留守電聞いて飛んで帰ってきたよ!」

「翔太、怒らないで!」

「別に怒っちゃいないけど…」

二人ともあたしの存在などすっかり忘れている。

「ヤヨね、やっと気づいたの。ヤヨには翔太しかいないって」

ヤーヨー?

千葉の首ぶらさがるように腕を絡め、上目遣いに見上げる彼女こと弥生ことヤヨに嫌悪感が増す。

だいたいにして、いい歳して自分の事を名前で呼ぶ女にロクな奴はいない。ブリッコエリナとか詐欺師アユカとか…。その他もろもろ、過去にイジワルされた女の顔が次々と浮かんだ。それだけのことで、あたしは弥生を敵だと決め付け、心の中でファイティングポーズを構えた。

「何言ってんだよ…。勝手すぎんだろ?自分から別れたい、連絡するなって言っておいて…。」

これで全て理解した。この子は千葉のモトカノだ。いつか占いで帰ってくると予言したモトカノなのだ。

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