アンラッキーなあたし
「桜庭さんが無事でよかったです。女の子なのに火傷のあとが残ると大変だ」
中田さんは言うと、キャンディーをくれた。今日は緑色。多分マスカット味だ。中田さんはこうしてくるたびにあたしにキャンディーをくれる。あたしは貰ったキャンディーを舐めず、瓶に入れてコレクションしている。宝石みたいに煌くキャンディーはあたしの宝物だ。
キャンディーをくれたあと、「ところで」と中田さんが言った。
「ところで、よかったら桜庭さんも定期預金とかしてみない?」
「定期、ですか?」
「うん。毎月少しづつでもいいからさ。貯めようと思っても自分じゃなかなか貯められないでしょう?」
少し垂れ気味の目をされに垂らしで中田さんが笑う。あたしはまた壊れたブリキ人形になる。
「どう?」
そう聞かれて、「結構です」なんて言えるはずもなく、ついあたしは、
「考えておきます。ついでに、今までも貯金も全部中田さんの銀行に預けようかな?ほら、中田さんの会社なら安心だし」
などと都合のいいことを言ってしまった。
「本当ですか?ありがとうございます。いつでも相談にのりますよ。ではまた」
中田さんはキシリトールのような爽やかさを撒き散らし帰っていった。
中田さんは言うと、キャンディーをくれた。今日は緑色。多分マスカット味だ。中田さんはこうしてくるたびにあたしにキャンディーをくれる。あたしは貰ったキャンディーを舐めず、瓶に入れてコレクションしている。宝石みたいに煌くキャンディーはあたしの宝物だ。
キャンディーをくれたあと、「ところで」と中田さんが言った。
「ところで、よかったら桜庭さんも定期預金とかしてみない?」
「定期、ですか?」
「うん。毎月少しづつでもいいからさ。貯めようと思っても自分じゃなかなか貯められないでしょう?」
少し垂れ気味の目をされに垂らしで中田さんが笑う。あたしはまた壊れたブリキ人形になる。
「どう?」
そう聞かれて、「結構です」なんて言えるはずもなく、ついあたしは、
「考えておきます。ついでに、今までも貯金も全部中田さんの銀行に預けようかな?ほら、中田さんの会社なら安心だし」
などと都合のいいことを言ってしまった。
「本当ですか?ありがとうございます。いつでも相談にのりますよ。ではまた」
中田さんはキシリトールのような爽やかさを撒き散らし帰っていった。