アンラッキーなあたし
まさか千葉に怒鳴られるとは思っていなかったのだろう。弥生は、ふんと鼻で笑うと、「ばっかみたい」と呟いた。

「ばっかみたい!何、むきになっちゃってんの?だいたいにして、翔太も翔太だよね?こんな頭の可笑しな女の面倒見てさ!知ってる?この女、翔太の事…。」

弥生が何を言おうとしているのか悟ったあたしは、

「やめて!」

「キャッ!」

部屋の中に乾いた音が響いた。

あたし、何した?手のひらがジンジンと熱い…。弥生を殴っちゃった…。

「桜庭!」

「うわぁーん!翔太~!」

弥生が千葉に抱きつく。千葉は弥生を抱きしめ、あたしを思い切り睨んで言った。

「お前、最低のブスだな!」

最低のブス…。

ブスと言われてるのは慣れているはずなのに、心が砕けそうに痛い。
けれど、その通りだ。弥生にまで八つ当たりして。あたしは、最低のブスだ。

「あたし、ちょっと、頭冷やしてきますね」

そういい残すと、涙がこぼれる前に、あたしは部屋を飛び出した。
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