アンラッキーなあたし
「そろそろやばぁい」
就業時間が近づくと、恵梨菜はチラチラと時計を気にし始めた。恵梨菜の腕には、おしゃれに無頓着なあたしでも知っているようなブランドの時計がはめられている。同じ給料のはずなのに、こいつは毎月ブランド品を買っている。実家暮らしだから給料は全部自分の好きなものに使えるのだろう。
羨ましい。
それに引き換え、あたしの時計なんて三年前に公園のベンチに誰かが置き忘れていった合皮の腕時計。おしゃれどころかじじくさい。
時計はいくどとなく息の根を止めたが、そのたびに、机のかどにぶつけるという荒療治を繰り返し復活させた。
あたしの時計は四時。会社の掛け時計は六時。
また、狂ってる。
いつもどこかで狂って取り残されるあたしの人生そのものだ。
「限界だ!って、ことで、あとはよろしく」
残りの書類をあたしに押し付けると恵梨菜は帰り支度を始めた。
就業時間が近づくと、恵梨菜はチラチラと時計を気にし始めた。恵梨菜の腕には、おしゃれに無頓着なあたしでも知っているようなブランドの時計がはめられている。同じ給料のはずなのに、こいつは毎月ブランド品を買っている。実家暮らしだから給料は全部自分の好きなものに使えるのだろう。
羨ましい。
それに引き換え、あたしの時計なんて三年前に公園のベンチに誰かが置き忘れていった合皮の腕時計。おしゃれどころかじじくさい。
時計はいくどとなく息の根を止めたが、そのたびに、机のかどにぶつけるという荒療治を繰り返し復活させた。
あたしの時計は四時。会社の掛け時計は六時。
また、狂ってる。
いつもどこかで狂って取り残されるあたしの人生そのものだ。
「限界だ!って、ことで、あとはよろしく」
残りの書類をあたしに押し付けると恵梨菜は帰り支度を始めた。