アンラッキーなあたし
｢本来なら、大事な約束の日に事故を起こすような相手に仕事はまかせたくないというのが本音だ｣

しょぼくれるあたしに、社長は一喝した。

｢はぁ…、ですよね｣

確かにその通りだ。そもそも、千葉が大事な書類さえ忘れなければ、あたしが走る事も、事故に遭うこともなかっただろう。だから、千葉が悪い。

けど、それは、もしかしたらそれは千葉の性ではなく、あたしのかけた呪いのせいかもしれないのだ。

あたしはアリンコぐらい小さくなって肩をすぼめた。

すると社長、ゆるゆると顔を崩し、こう言ったのだ。

｢が、今回は君のガッツに負けて判を押してやろうじゃないか｣

｢ほ、本当ですか？｣

「ああ、本当だ」
社長はサラサラと書類にサインし、ぽんと判を押を押してくれた。

なんて、粋な男だよ！

あと30年早く生まれていれば、あたしは社長に惚れていただろう。
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