アンラッキーなあたし
帰り際、時計を確認したとき、すでに6時を過ぎていた。あたしにはもう1人約束を果たさなきゃならない人がいる。

シンディーだ。

あたしは疲れきった体に鞭打って再び走った。

携帯は壊れた。あたしとシンディーを繋ぐ唯一のメールという手段は絶たれた。だからあたしは走るしかない。

走るしか!

走れ、あた、し?

けれども、千葉のために走るより、ちっとも一生懸命になれなかった。

むしろ、だりぃ。

それでも一応は走った。時々競歩を交えながら、どうにか約束していた駅に到着し、時間を確認すると、もう7時を回っていた。

もちろん、待ち合わせ場所にシンディーの姿はない。

そもそも、シンディーの姿ってどんなん?

シンディー…。

一体、どんな思いであたしを待っていたんだろう?人に裏切られる辛さはあたしが一番知っているはずなのに、結果的に裏切ってしまった。

からかったと思われたかな?傷つけたよね?あたし最低だ。

シンディー…。

ごめんなさい。

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