アンラッキーなあたし
「ちょっと、これは三ツ屋さんのぶんでしょう?」

さすがに文句を言うと、

「そうだけど、あなたがやるほうが早いもの。だったらこうしたほうが効率がいいじゃない」

なんという理屈だろう。

「そういうことじゃないと思うんだけど」

「じゃあどううこと?何よ、困ったときはお互い様でしょう。同じ派遣同士助け合おうよ」

「でも…」

あたしはあんたに助けてもらったことなんか一度もないんですけど。

「じゃあね。お疲れ様」

ヒールをこつこつ鳴らしながら、モデル歩きで帰る恵梨菜を会社に残っているオヤジたちが眩しそうに眺めている。あたしはペンケースにぶら下がった赤い人形をぐりぐりとこぶしでこねくりまわした。
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