アンラッキーなあたし
「ヤヨ、ちょっとだけ楽しかったよ。さくらさんと暮らすの」

「それはそれはよかったです」

あたしも、ちょっとだけ楽しかったから。

「これからも時々は遊びに来てくれる?」

無邪気に弥生が聞いた。

そんなこと、できるわけないじゃん。

弥生のこんな無邪気さは、やっぱり苦手だけれど、でも、ここは、あたしが大人になるべきだろう。

「そうですね。落ち着いたら」

「よかった!」

弥生があたしをぎゅっと抱きしめた。

「ああ、よかった。その時は掃除と洗濯お願いね!さくらさん、アイロンがけ、めっちゃ上手でクリーニングいらずなんだもん」

あたしは通いの家政婦か!やっぱり、この子、だめだわ。

一気に白けたあたしは、弥生の体をひっぺがした。
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