アンラッキーなあたし
「ところで、弥生ちゃん。千葉さん、いつ退院するんですか?ちゃんとお見舞い行ってます?」

あたしは千葉の入院先を知らない。入院に必要な物を届けるのは恋人(にもうすぐなるであろう)の仕事だ。それに、足を骨折した千葉は、帰ってきてからもしばらく不自由な生活が続くだろう。この子にお世話ができるのだろうか?

「お見舞い?骨折でしょ?死ぬわけじゃないんだしぃ」

ほらね、これだよ。

「それでも顔を出してあげてくださいよ」

「だってぇ、弥生にも仕事あるしぃ、エステやサロンの予約もあるしぃ」

はぁ…。哀れな千葉。

「ヤヨの事はほっといて!翔大とはうまくやるから!それより早く引っ越したら?もうここはヤヨんちなんだから!」

さっきの涙はなんだったんだ!それにヤヨんちー?千葉んちの間違いだろうが!!

本当に、千葉はこの女のどこに惚れたんだろ?顔とスタイルしか取り得のないバカ女じゃないか。でも、顔とスタイルが良ければ、ちょっとくらい性格が悪くても、頭が悪くても許されるんだよね…。

「じゃあ二度と会う事はないと思いますけどサヨウナラ!」

弥生が「掃除はせ?洗濯は?もう来てくれないの?」と叫んでいるが聞こえないふりをした。

どこまでも勝手なやつ。
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