アンラッキーなあたし
「あ、あの…」

千葉はあたしと飛び散った物たちを交互に見た。

「あ、あ、あの、これは…」

「何?」

なんと言い訳していいかわからない。万事休す。

「さっき、火傷しませんでしたか?」

この状況で聞くべき事ではなかったが、あたしはどうにかごまかそうと精一杯話をそらした。

「べつに」

「でも…」

「大丈夫だから、さわんなよ」
伸ばしかけた手を千葉は思い切り振り払い、まるで泥棒でも見るような目であたしを睨んだ。

いや、実際に泥棒なのだが…。

それでも、そこまで拒絶されるとやはり傷つく。盗んだ物たちに触れないのも腹が立つ。

無言で立ち去る千葉の後姿を見つめながら、あたしは、こいつの分の呪いの人形も買わなくてはと心に誓った。
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