アンラッキーなあたし
その痣は今でも残っている。顔の右側、目の下からほっぺたにかけて縦に長いいびつな形をしたそれは、あたしの最大のコンプレックスだ。

でも、だからといって、ドラマや漫画にありがちな「痣さえなければ美しい顔」というわけではない。 

痣がなかったとしてもあたしはブスだ。

現実って、けっこうそんなもんだ。

その痣のせいであたしは小さい頃からよくいじめられた。

どうにか痣を隠そうと、いつも顔の半分を髪の毛で覆っていたあたしにつけられたあだなは「おいわさん」。

今の時代だったら、「貞子」だったに違いない。

あだ名というものはその時代の流行がきちんと反映されているのだ。

無論、どちらがいいとは言いがたい。

だって、要はどちらもばけもんだ。

あたしはこの痣が大嫌い。ほとんど憎んでいると言ってもいい。

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