アンラッキーなあたし
もちろん、整形手術で取り除いてしまいたいと切望したこともある。けれど、それは土台、無理なお話だった。なぜなら、とにかくうちは貧しかったのだ。

父が死んだ後、母は女手一つであたしを育ててくれた。働きづめの母はいつも疲れきっていた。実年齢よりもずっと上に見え、正直あたしよりよっぽど母のほうが整形手術が必要だった。

そんな母に多額な手術費用を出してほしいなんて口が裂けても言えなかったし、何より、当の本人よりも母のほうがはるかにこの痣を気にしていたのだ。


こんな顔に産んじゃってごめんねぇ…。

母は言い、

いいんだ別に。痣があってもなくてもあたしはブスだから。

あたしは、いつだって、そう答えた。


< 5 / 354 >

この作品をシェア

pagetop