アンラッキーなあたし
え…?あたし今、なんて言った?

すぐさま自分の発言を後悔した。売り言葉に買い言葉とはまさにこのことだ。まずいと思い、口をつぐんだが、ルコ先生は顔色一つ変えなかった。

「あ、そ。じゃ、お疲れさん」

「え、いや、その…」

途端、あたしは塩をかけられたなめくじのようにしおらしくなる。

「な、なーんちゃって…」

ルコ先生は一度機嫌を損ねるとなかなか直らない。それでもあたしは、どこかで油断していた。先生があたしを見捨てるはずなどないと思っていた。それなのに、

「あのね、さくら。悪いけど、本当に辞めてもらうよ」

がっちょーん。と、顔に縦線が入り、足元がふらふらした。なんてことを言うのだ、この人は。突然、お先真っ暗である。
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