アンラッキーなあたし
「その人、変態ですか?」

「ばか!彼ね、小さい頃に母親を亡くしてて、そのせいか、包容力のある大人の女の人しか愛せないんだって。ようはマザコンなのさ。けど、まあ、男なんてみんなマザコンだからねだから」

「マザコン?おばあちゃんっこの間違いでは…」

もはやルコ先生の耳にあたしの忠告は届いていなかった。体をくねらすルコ先生は、もはや色ボケばばあにしか見えない。

「その瑞樹に、ルコは働きすぎ。これからはもっと自分を大切にして、俺との時間を優先してなんて言われたら聞かないわけにはいかないだろう?そういうことで、さくら、あんた、来週から来なくていいからね」

つまり、あたしは邪魔者だったというわけか。

どうにか説得を試みようとしたが、浮かれきったルコ先生の耳に、あたしの言葉は届くはずもなかった。

出たよ、ルコ先生の悪い癖。それは、男に振り回されすぎること!

ルコ先生が独身なのも、きっとこの当りに理由があるとあたしは睨んだ。
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