アンラッキーなあたし
しかし、ここでいくら地団駄ふんだところでどうにもならない。なをんせ、上からの決定なのだ。だから、ワンマン社長の会社ってやだ。

これから、どないしよ?

ふらふらとデスクに戻ろうとすると、「あとさ…」と、まだ何か言い足りないのか、内田があたしを呼び止めた。

傷心のあたしをまだ傷つけるのかと恨めしい気持ちで振り返ると。内田は声を潜め、

「あとさ、君、会社の備品持ち帰ってるんだって?そういうの、やっぱ信用なくすよね」

と嫌らしく笑った。

ノックアウトである。それには、さすがのあたしもおののいた。

なぜ?なぜばれている?社内に監視カメラなんかあったっけ?いつも人がいないときを見計らい。細心の注意を払って泥棒に励んでいたと言うのに、なぜ、ばれている。

あたしは解雇宣言を受けたとき以上に動揺した。
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