アンラッキーなあたし
「あ、千葉さんだぁ!お疲れ様ですぅ」

隣ではお気楽娘の恵梨菜が黄色い声をあげている。

なにが、お疲れ様ですぅうう、だ!お前なんかプリンの角に頭ぶつけて死んじゃえ!

プリンに角がないのも忘れ、恵梨菜にやつあたり。

今のあたしは尖ったナイフよりも全然危険なのだ。ペンケースにぶら下った呪いの人形を三対まとめてぎりぎりと握りつぶし、悔しさをかみ殺した。

とんとん

ふいに、誰かに肩を叩かれて振り向く。

「おい、すげぇ顔だな。お茶、入れてくれないてさっきから声かけてんだけど?」

千葉だった。

すげぇ顔で申し訳ございませんね。あたしはどうせオイワで貞子でばけもんですよ!だから解雇ですよ!この会社にばけもんは必要ないってさ!

千葉の爽やかさですら、今は、忌々しい。

あたしはきつく唇を噛んだ。
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