潔癖な浮気
「ヤらせると思う?浮気相手経由の病気なんかもらいたくもないわ。それに、そういう約束で別れないであげのに!」

カウンターに、空になったグラスを叩き置く。普段はセーブ出来るアルコールが、今夜は止まらない。
なにもかも忘れてしまいたかった。

「最初の浮気を知ってから、不安で不安で……」
「でも、大丈夫だったんでしょう?」

私の隣に座っているのは、会社の後輩。
セックスレス三ヶ月を待って行った産婦人科で、恥辱を味わい受けた検査。その結果を聞きに行った帰りに、ばったり会ってしまった。

「全部、陰性だったわよ!」

性病検査も妊娠検査も、全部。
本当なら嬉しいのに、嬉しくない。
お互いの陰性を確認したら、また仲良く出来ると思ってたのに……また浮気されて、また三ヶ月待たなきゃいけないの?

「陽性だったら、彼に責任取らせられたのに……」
「そんなに、彼が好きなんですか?」
「知らないっ!」

二回も浮気した彼をまだ好きかなんて、わからなかった。
初めての相手だから、固執しているだけかもしれない。そう思っても、私から別れを切り出す気にはなれなかった。
彼が初めてじゃなかったら、早々に見切りをつけられたのかしら。
処女が重いって、本当ね。自分が重い。
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