黒猫少女今日も憂鬱。
*
“「ねぇ。いい加減にして。」
たった一言、言うだけなのに。
その一言が、言えなくて。辛くて、胸が苦しくて。
「わたし、キミが好き。」
その言葉でも、良い。
その言葉の方が、素直で可愛い。言えるはずがないけど。”
「・・・も-いーや。この小説、私には合わないし。‥杏里のやつ、こんなの私に勧めて‥。」
ぱたんと友人から押しつけられた恋愛小説を閉じる。
今の子は、こんな小説が好きなのか?私には、到底理解出来ない。
はっきりと言えばいいじゃないか。もどかしい。
「こんなの、何がいいのやら‥。」
はぁ、と溜息を一つ吐き、私はベッドに転がった。
白い天井をぼーっと見つめる。
「・・・・それとも、私の経験不足?」
よくよく考えると、私はもう中2。それも後少しで中3になる此の季節。
それなのに、未だ過去に恋人の一人も居たことが無い。
周りの友達は、思うと彼氏が居る子が多い。
「・・・・いや、まだ中2だし。周りが早いだけでしょ‥。」
思うとちょっと憂鬱になったりならなかったり。
私、モテないのか・・・。
見た目は、ちょっとぽっちゃりだけれど、顔は自分で言うのもなんだが可愛いと思う。
「なのに、何故告られない。・・・あっちゃんでも彼氏居るってのに。」
私の友人、あっちゃんは、小学校低学年からの友達。
華奢で、というかガリガリで、色白だから、小学校の頃は、軽く苛められたりしていた。
いっちゃ悪いけど、顔はぶさいく。目細いし、口でかいし。
‥私、性格悪いのかな?
「・・・あ-もう、寝よ。」
うだうだ考えてても、恋愛偏差値が上がるわけじゃないし。
私はぎゅと目を閉じて眠った。