秘密の相談室 2
「陽菜……?」


振り返ると、涼太を連れた吏真が不安そうにこちらを見ていた。
どうやら、俺は彼女がここまで来ていることを察せずに、吏真の妹と名乗る桃井って女と話し込んでいたようだ。


「姉さん!!」


彼女は、駆け出し吏真に抱きつく。
当の吏真は、何が何だか分からなくて桃井のされるがままにされ、呆然と立ち尽くした。


「えっと、陽菜…この短時間で何があったの?」

「そいつ、桃井春美は吏真の実の妹」

「あ…たしの?」


色素の薄い茶色の瞳を、大きく開く。
それほどまでに、吏真が今の状況を把握しきれていないのだろう…

「姉さん…母さんもね、姉さんを施設に入れたこと、後悔してるの…」

「………えっ…」

「だから、私と一緒に母さんのところへ帰りましょ?」


桃井の言葉に戸惑いを隠せないのだろう。
吏真は、一言も喋ろうとはしない。
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