貴方の為に流した血


「キルト…私のせいで…」


眠っているキルトに謝る。

私に遠慮して、吸う量を抑えてたんだ…。


「キルト様は…貴女のことが大切なのでしょうね…」


「え?」


ルイス医者の言うことにビックリする。


「今までのヴァンパイア達は、人間に遠慮なんかせずに血を吸っていたんです。…キルト様もそうでしたよ」


「キルトも?」


「はい。そして血がなくなった人間達は葬られて来ました…それが当たり前だったんですよ」

葬られる。
…つまり、殺された?


「でも、キルト様がこうなるのは初めてなんです。…だからキルト様は貴女がとても大切なんですね」


「…っ…」




涙が溢れる。











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