携帯小説~誰かのための予言~
私はとても口をはさめなかった。

ただ、アサコとアユミのやりとりを見守るしかなかった。




「ネエ、オボエテル? 2ネンニ ナッテ、アサコガ ワタシニ ハナシカケテ クレタノヲ。アサコニハ トモダチ イッパイ イルカラ オボエテナイカモ シレナイ。デモ、ワタシニハ トモダチガ イナカッタカラ、アサコト トモダチニ ナレタッテ ウレシクテ…」


アサコは黙ってしまった。

アユミの言うとおり、覚えてないのだろう。



「デモ、ウラサイトニ トモノ コト、カキコンダノガ ワタシダッテッテ、ウワサガ ナガレテ…。ソシタラ、アサコ、ワタシカラ ハナレテイッタ。ワタシノ ハナシナンカ、ナニモ キカナイデ、イッポウテキニ、ワタシカラ ハナレタ」




突然、アユミの目から一粒のガラス玉が零れ落ちた。



――涙?



ガラス玉はアユミの膝を滑り落ち、ベッドの下へ転がっていった。



艶やかな残像だけを残して。


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