携帯小説~誰かのための予言~
その日は一日不愉快な気持ちを引きずっていた。

電車でワカナと出会うまでは。





「ハナ!」

肩を叩かれた。

ワカナだった。


「どう? 携帯小説読んでみた?」


ワカナは私の感想を聞くのが楽しみで仕方ないらしい。


「読んだよ。ワカナおすすめの小説、結構よかった」


私は嘘をついた。

本当はどうでもいい話って思ってたけど、

ワカナをがっかりさせたくない。


「でしょ、でしょ。なんか胸がきゅんとなるんだよね~」


ワカナは目を輝かせる。

希望通りの感想が聞けて満足したのだろう。
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