携帯小説~誰かのための予言~
私たちは外のベンチに座って

クレープにかぶりついた。



ワカナは『ベリーベリースペシャル 650円』

私は『バナナチョコ 400円』




私たちは健全な女子高生らしく、

よく食べ、

よく笑った。







しかし――。




突然ワカナが黙りこくった。


声をかけるのも躊躇してしまうくらい深刻な表情を浮かべている。




「ねえ、ハナ。あれからあの携帯小説読んだ?」



やっぱり。

またそのこと考えてたんだ。



「読んでない」



シュンスケ先輩のことが

本当に起こって、

私はすっかり恐ろしくなっていた。



だから、

『誰かのための予言』はおろか

『携帯小説ザクロ』すら

開けられないでいた。
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