TABOO ⅩⅠ~解けていく魔法~
「あのね…」
隣の部屋に生徒がいることを伝えようと、慌ててそばへ近寄る。
「今…」
言い掛けながら彼の胸を軽く押すようにして、そのまま部屋の外に出ようとしたけど、手を握られ足が止まった。
見上げるあたしの目に、いつになく緊張した顔が映る。
「返事を急ぐつもりはなかったけど…」
その言葉にハッとする。
「…待って、ここじゃ…」
何を言うつもりなのかわかった今、必死になって止めようとするあたしに、
「ついてきて欲しい」
彼の声が響いた。