丹後の国のすばる星
亀比売の願い
「ちょうてい…? 母上。ちょうていとは、なんですか」
幼い子供が、美しい貴婦人に手を引かれて、大きな城の前で話をしていた。
あずみは目の前で傍観するだけの状態でそこに佇んでいる。
「朝廷というのはね、すめらみこと(天皇)がいるところなのよ。父上がお勤めになっていらっしゃるわ」
「父上が」
「きっと、明日には戻っていらっしゃるわね。それまでお待ちしていましょう、島子や」
「はい、母上」
親子が城の中へ移動しようというとき、使いがやってきて貴婦人に手紙を渡すと、母親の身体が大きく崩れてよろけるように倒れてしまった。
「母上…母上…母上」
幼い島子は貴婦人、つまり亀比売を抱き起こそうと必死になって叫んでいた。
幼い子供が、美しい貴婦人に手を引かれて、大きな城の前で話をしていた。
あずみは目の前で傍観するだけの状態でそこに佇んでいる。
「朝廷というのはね、すめらみこと(天皇)がいるところなのよ。父上がお勤めになっていらっしゃるわ」
「父上が」
「きっと、明日には戻っていらっしゃるわね。それまでお待ちしていましょう、島子や」
「はい、母上」
親子が城の中へ移動しようというとき、使いがやってきて貴婦人に手紙を渡すと、母親の身体が大きく崩れてよろけるように倒れてしまった。
「母上…母上…母上」
幼い島子は貴婦人、つまり亀比売を抱き起こそうと必死になって叫んでいた。