月夜の桜
……まぁ、そのような話は桜には全く持って関係のない話しだけれど。





この髪と瞳はほとんどの者が目にすれば忌み、気味悪がることは間違いない。





だから、桜がどこか誰かの元へと嫁ぐことは恐らくない。





彼女は一生、この邸で暮らし一生を終える。





何とも寂しく哀れな一生だ。





無意識に自嘲めいた笑みを浮かべ、桜は立ち上がり部屋へと戻る。





これ以上この場にいると、思いだしたくないことをまた思い出してしまいそうで桜は掛け布を頭までかぶるとぎゅっと目を閉じた。





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