《爆劇落》✪『バランス✪彼のシャツが私の家に置かれた日』
①中川真澄 〜目に良いイケメン〜
☆★☆
これ、完全に場違いだよね!?
和風居酒屋の奥にある個室の襖を開けた時『やっぱり、来るんじゃなかった……』って、心の底から後悔した。
★☆★
今朝、小走りにやってきた万里(まり)が、大きな瞳を潤ませ両手を拝むみたいにして私を見上げてきた。
「真澄(ますみ)先輩、お願いしますよぉ〜、今回だけですから、ね? いいでしょ?」って、いったい体のどこからだしてんだろうと不思議になるような甲高い声を上げた万里。
女の私が感心するほどに、万里という女は実に女子力の高い女だ。
女の武器をここぞって時には、惜しみなく使える。しかも、その武器は、日常的によく手入れしてあるため、必要とあらばいつでも出してこれるようだ。
きっと、まだまだ見えないところにも女子力アップの武器を日々備え、たくさん隠し持っている、そんな気がする。
万里の武器のひとつが、その表情だ。
実に己をよく知っている万里。自分がどんな風に顔の筋肉を動かし、どの角度で相手を見上げれば一番可愛いく見えるのかを、常に研究したり考えているんだと思う。
さもなければ、あんなに可愛らしくて切なそうな表情を出来る訳がない。
悲しい事に女子力をあげようと私が鏡片手にいくら努力したとしてもたかが知れている。
だとすれば万里の場合は、この世に生まれ落ちた瞬間から可愛く見える表情筋がかなり発達していたのかもしれない。
あの一見屈託の無い可愛らしい表情にはいつも騙されてしまう。何か裏がありそうだと学習しているはずなのに、今日もついつい乗せられてしまった。
「ん〜仕方ないなぁ。今回だけだからね」と先輩風吹かして可愛い後輩につい、いい人ぶってしまう私も言い加減どうだろうかと思う。
万里の「真澄先輩、今回だけですから~」に一体何回騙されたのか忘れたわけじゃない。
これでもまだ29だ。そんなことも忘れてしまう位は、いくら私でもボケていない……と思う。
これ、完全に場違いだよね!?
和風居酒屋の奥にある個室の襖を開けた時『やっぱり、来るんじゃなかった……』って、心の底から後悔した。
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今朝、小走りにやってきた万里(まり)が、大きな瞳を潤ませ両手を拝むみたいにして私を見上げてきた。
「真澄(ますみ)先輩、お願いしますよぉ〜、今回だけですから、ね? いいでしょ?」って、いったい体のどこからだしてんだろうと不思議になるような甲高い声を上げた万里。
女の私が感心するほどに、万里という女は実に女子力の高い女だ。
女の武器をここぞって時には、惜しみなく使える。しかも、その武器は、日常的によく手入れしてあるため、必要とあらばいつでも出してこれるようだ。
きっと、まだまだ見えないところにも女子力アップの武器を日々備え、たくさん隠し持っている、そんな気がする。
万里の武器のひとつが、その表情だ。
実に己をよく知っている万里。自分がどんな風に顔の筋肉を動かし、どの角度で相手を見上げれば一番可愛いく見えるのかを、常に研究したり考えているんだと思う。
さもなければ、あんなに可愛らしくて切なそうな表情を出来る訳がない。
悲しい事に女子力をあげようと私が鏡片手にいくら努力したとしてもたかが知れている。
だとすれば万里の場合は、この世に生まれ落ちた瞬間から可愛く見える表情筋がかなり発達していたのかもしれない。
あの一見屈託の無い可愛らしい表情にはいつも騙されてしまう。何か裏がありそうだと学習しているはずなのに、今日もついつい乗せられてしまった。
「ん〜仕方ないなぁ。今回だけだからね」と先輩風吹かして可愛い後輩につい、いい人ぶってしまう私も言い加減どうだろうかと思う。
万里の「真澄先輩、今回だけですから~」に一体何回騙されたのか忘れたわけじゃない。
これでもまだ29だ。そんなことも忘れてしまう位は、いくら私でもボケていない……と思う。
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