《爆劇落》✪『バランス✪彼のシャツが私の家に置かれた日』
⑪中川真澄〜彼のシャツが私の部屋に置かれた日〜
★★★
土曜の1時。
『明日、来いよな』って、あいつに言われた時間だった。
久しぶりにハヤシライスを作って食べようとしたが、なんだか食べられなかった。胸がいっぱいでとか子供じみた事は言いたくなかった。でも、なんだか食べられないまま壁にかかった丸い電波時計を眺め、ただ時間が過ぎていくのを眺めていた。
三浦は年下で鼻持ちならないナマイキ男だ。
合コンでの職人ぷりも嫌だし、とにかく真面目な恋とかには発展しそうにない。お遊びの恋なんて今までしたことが無い。いつだって、私は相手を本気で好きだった。
しかも私は甘えたい派なのだ。年下じゃあ困る。甘えられたりしたら、とても面倒だ。私は母親とか姉とかになりたいんじゃない。
たった1人の人間として愛してもらいたいし、たった1人の人間を愛したい。じきに30歳の女は、遊び半分の恋なんか望んでいない。
それをあいつは、わかってるんだろうか?