《爆劇落》✪『バランス✪彼のシャツが私の家に置かれた日』
「ほ、ほら……それは」
「それは?」
伸びてきた三浦くんの顔が両手で隠した私の顔を見ようと私の指に手をかけ覗き込んでくる。
追い詰められて、三浦くんを見上げたまま、ついに顔を隠していた手を掴まれて外されてしまう。
私の心の動揺など知ったことかと言うように追加でジャーっとひたすら水を貯めている洗濯機。
「リップがはみ出してるよ。真澄さん」
指先で優しく私の唇に触れる三浦くん。
「三浦くんのせいでしょ、リップがはみ出したのは!」
「そー? ごめんごめん。じゃ、はみ出してところは……」
三浦くんの綺麗な瞳が私の唇を見ている。それだけで緊張してしまう。
私の顎に手をかけて、顔を寄せペロリと私の唇をソフトクリームでも舐めるみたいにした。
「ひゃぁ!」
「何?」
「舐める? 普通舐める? ね、舐める?」
余りの驚きにただ『舐める』を連呼していた。
「舐める」
また、ペロリと私の唇は舐められていた。
「うわっ! 」
「何その声、色気ないなぁ」
「そっちが変な声出すようなことしたからでしょーが!」
私の腰に手を回す三浦くんは、私を妖しい光を帯びた瞳で見おろしてきた。
「俺のせい? ならさ、今度は色気のある声を出させようか?」
やけに甘い声を出し私の後頭部に手をかける三浦くん。