《爆劇落》✪『バランス✪彼のシャツが私の家に置かれた日』
★★★
一週間前の休日。
私の家で三浦くんから告白めいた事を言われた。
家の狭い廊下で押し倒されてキスした。
あの後抱きしめられたせいで、三浦くんのシャツに私のリップが少しついてしまった。
不思議なことに、淡いピンク色のリップがついた白いシャツを見ていたら、どうやら30歳に片足を突っ込んでいる私でも久しぶりに恋が出来るようだと、光に満ちた希望まで持つようになっていた。
が、その後狭い部屋に2人きりでいても何も特別な事は起こらなかった。
夕飯を一緒に食べることになり、スーパーへ2人で買い物に出かけた。1人でする買い物より、2人で会話を楽しみながらする買い物は数倍は楽しかった。
だけど、買い物の最中や帰り道でも、三浦くんと私の間には少し距離があり手を繋ぐ事さえなかった。
料理上手な三浦くんが五目焼きそばを作ってくれた。『あったかいうちに食べよう』と2人で向かいあって食べた。
一緒に食べる夕飯は、1人で食べる夕飯よりとても楽しいし美味しく感じた。
それはそれで、良いことには変わりない。だが、どこかで私は期待していた。
手とか握られる? とか、キスされるかな? その先も求められたりするかな? って、常に心配していた。
でも、それらは全て要らぬ心配だった。