《爆劇落》✪『バランス✪彼のシャツが私の家に置かれた日』
⑬三浦俊也〜狙い通りに〜
★★★
結局、ハワイアンなバーでちゃんと夕食を食べられなかったから、真澄さんの家でハンバーグを作って食べる事になった。
ラッキーだ。
俺の思惑どおり。
嬉しくて、つい笑いがもれそうになるのをなんとか口の端に手の甲を当てて我慢した。
スーパーで買い物しながら、真澄さんが「料理下手なんだけど、私」と心配そうな顔をみせる。
こういう顔もグッとくる。スーパーで無けりゃ抱きしめたいところだ。
真澄さんの口から、念願だった『好き』を聞けて俺は大満足だ。やっと、俺の一方的な想いが報われた気になっていた。
★★★
キッチンで包丁を不器用に動かし、玉ねぎを一応みじん切りにしようとしている彼女。
玉ねぎを刻みながら、涙を流しそうになっている真澄さんも相当に可愛い。
「貸して。あとは俺がやるからさ、真澄さんは座ってて」
ティッシュを何枚か取って、真澄さんの目のあたりにそっと押し当てる。
「え? いいの?」
「もちろん。俺、別に女が料理つくるもんだとか全く思ってないからさ。好きな方がやればいい、でしょ?」
目をしょぼしょぼさせた真澄さんが、安心したように包丁を俺に渡した。