《爆劇落》✪『バランス✪彼のシャツが私の家に置かれた日』
「真澄さ、このプリンデカすぎない?」
「そお?」
「デカイよ。一緒に食べればいいじゃん、これ」
カゴの中に入れたビッグプリンを見る俊也。
「いいけど、どこで食べる気?」
「真澄んち」
「いいけどさ、あとで質問に答えてね」
「なに? 質問なんかあんの? なんかこえー」
俊也は自分の両腕をさすってみせる。
「いいから! さ、会計してくるね」
「うん」
家までの帰り道。
俊也と手を繋いで歩いた。買いもの袋は、俊也が反対の手に持ってくれていた。話をしてると、あっと言う間に家までたどり着いてしまう。
「俊也」
「ん?何?」
聞きたい事は、うじうじ悩まないで聞く。そう決めた。
「……私のこと……って言うか、私は俊也の……本命?」
決めた割りには、うじうじした聞き方だった。
「はあ? なんだそれ。本命ってバレンタインのチョコレートみたいだよね」
「バレンタイン? チョコレートでもなんでもいいから答えてよ」
俊也は、夜空を仰ぐみたいにしてから、私を見おろした。
それから、年下のくせにすごく余裕のある微笑みを見せる。
「んー大本命だけど、まずい?」
言い方まで余裕だった。