《爆劇落》✪『バランス✪彼のシャツが私の家に置かれた日』
「ま、まずくないよ。なんかしゃくに障る言い方だけども、ひとまず……良かった……あとさ」

「まだあんの?」

「うん。ほら、好きとか気持ちは聞いたけど……付き合うとか…そういうなんていうか私達ってどういう仲なのかなぁって……ははっごめんね、なんか」
肝心な時になればなるほど、まどろっこしい言い方をしてしまう所は、今までと変わらない。髪を切っても全然効果が無かった。


「あっ、そうか。俺、まだ言ってなかったよね〜もしかして真澄に心配させてた? ごめん」

良かった。まどろっこしくても私がどうしても聞きたい事は伝わったみたいだ。

「いいの、いいの。そんな心配とかじゃ、そこまでじゃないし、大人だし。わかってる。うん、大体わかってる」
頷いてみせる私の前に立った俊也。

私の両方の肩に手を置いた。ビニール袋がカサカサと音を立てる。

俊也の方へ顔を上げると、私の両肩に両手を置いた俊也は下を向いていた。
「俊也?」

呼んでみると、下を向いていたせいで顔に血が上ったのか街灯の下で見る俊也の顔は真っ赤だった。また、鼻血がでてしまうんじゃないかと心配して俊也の顔を食い入るように見つめた。


「そんなに……みるなって」

「だって」
更に赤くなっている俊也が心配になってきた。

やっぱり、まずいことを聞いてしまったんだろうか?


「言う。言うから俺」
怒ったように言う俊也。


「ん? 何? 大丈夫?」
顔を覗き込んで、俊也の頬に手を当てた。

あつっ! 
思っていたよりもさらに熱かった。

息をすうーっと吸い込む音がしたかと思うと俊也が大きな声で言った。


「俺と付き合って下さい!!」




返事をしようとしたのに、先に俊也が言葉を繋げた。



「結婚前提として!!」





「えっ……」





真っ赤な顔して照れたように目を細める俊也の笑顔が、優しく私の方を向いていた。


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