《爆劇落》✪『バランス✪彼のシャツが私の家に置かれた日』
⑤三浦俊也〜年上の彼女〜
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数分前、彼女に聞いてみた。
せっかくここまで来たんだ。カレーの香りに反応した彼女にカレーを食べさせたくなっていた。
「カレー食うか?」
腹も減っていたらしい彼女だが、何か気にかかることがあるようだ。
チラチラと俺を見ては、少し考えている。なかなか返事をしない彼女を不思議な気持ちで眺めていた。
あ、そうか!
もしかしたら俺を警戒しているのかもしれない。
あんまり良く知らない男の家に、ひょこひょこ上がりこむ女ではないと言いたげな表情にも見えてきた。
「いいえ! 食べません」
強い口調で答える彼女を見てると、からかいたい気分が増大してきた。
彼女は俺を警戒している。すなわち年下の俺を男として見ているって証拠だから。
「ふーん、あんた警戒してんの?」
「え?」
「もしかして、俺に襲われるかもとか思ってんの?」
「まあ、それもありますけど……いやぁ、あんまりっていうか知らない人にご馳走になるのは……どうかなぁと」
「ふーん。無駄な心配すんなよ。コンビニでも言ったよな? 金を積まれても無理だから」
「あんたねー!」
怒った声と同時に彼女の腹の虫がぐぐーーっとまぬけな音を立てていた。
人間の体は正直に出来ているもんだ。