《爆劇落》✪『バランス✪彼のシャツが私の家に置かれた日』
「……」
三浦に呆れて無言でいる私に三浦はまたもや嫌なことを言ってきた。
「なんだよ、何年住んでんだよ。なんもしらねえのかよ」
かちん!
「知ってます! 店くらい」
三浦に馬鹿にされたくない想いから、つい頑張ってしまう私。
言ってから後悔した。
この流れからすると、御飯をゴキブリ男の三浦と一緒に食べる羽目になりそうな予感がする。
しかも、このジャージ姿で。殺虫剤まで持って?
信じられない事態だ。まさに、これこそ緊急事態というにふさわしい。
「ねぇ、店は教えるからさ、あんた一人で行ってきなよ」
「は? それじゃあ、意味ねーじゃん。殺虫剤のお礼だろが」
「それ、いいや、いらない」
「じゃ、割り勘でいいから行こうぜ。付き合えよ」
「なぜ、割り勘してまで、あんたと御飯? 冗談でしょ? 行かないって」
「ははーん。自信ないんだろ?」
「え?」
「あんたの紹介する店が、美味いかどうか自信ないから俺と一緒に行くと文句言われそうで怖いんだろ?」