《爆劇落》✪『バランス✪彼のシャツが私の家に置かれた日』
「は? 美味いわよ。自信ならバリバリにあります。ただ、あんたの味覚がおかしいのまで私のせいにされそうで嫌なんですけど」
「おぅ、味覚なら大丈夫だ。じゃ、行こうぜ」
「い、いーわよ。食べて驚かないでよね! それから、割り勘は割に合わないから、あんたの奢りね」
「了解。じゃ、財布取ってくるから待って」
ん? 待って?
何かがおかしい。いいように丸めこまれたような気がしてきた。結局、ゴキブリ三浦と御飯に行くのか、私って。
三浦を待つことになり玄関に佇む私は、
首を傾げ殺虫剤を見つめた。
「ねぇ! なんか袋ない?」
「袋ってなんで」奥からひょっこりと顔を覗かせる爽やか笑顔の三浦。
「これよ、これ。このまま持ってけっつうの?」
両手に持った殺虫剤を三浦に見せる。
「あー、それか。置いてけば?」
そう言って三浦は姿を消した。
へ? 置いていく? 何故?
また、取りに来させる気? それとも、もらう気? タワーマンションに住んでるくせにケチくさい。
殺虫剤くらいケースで買いなさいよ。
全く、とことん私をビックリさせてくれる男だ。