《爆劇落》✪『バランス✪彼のシャツが私の家に置かれた日』
駅から家までの道中にある商店街のラーメン屋さん。こじんまりしてる細長いお店。5人しか座れないから、御飯時はいつも大抵満員だ。

程よく油ぎった店内、黄ばんだ壁紙。
決して綺麗な店じゃないが、値段も手頃だし、1人でも入りやすい雰囲気だから良く利用させてもらっている。

「いらっしゃい」
善人顔の中年のおじさん。
このおじさんが店を一人で切り盛りしているのだと思う。いつもこのおじさんしか見ないから。

店内は御飯時と時間帯がずれていた為、2人しか客が入っていなかった。

初めて来た時に一番奥から座ってくれと、おじさんに言われた。それから何回も通ううちに、この店のルールがわかってきた。
カウンター席に奥からつめて座る。それがこの店の暗黙のルールらしい。

2人いる客の隣に私、ついで三浦が座った。

「とんこつラーメン屋だから、やっぱとんこつラーメンだな」


三浦が店の壁の貼ってあるメニューを見てオーダーするものを決めている。

「勝手にどうぞ。私はA定食で」


「え? ラーメン屋にきて定食って邪道すぎるだろ」
わかってないよなぁと言うように首をひねる三浦。

わかってないのは、お前の方だ。

邪道かどうか食ってみればわかるっていうの!
思わず、私は心の中であっかんべーと三浦に向け舌を出していた。
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