《爆劇落》✪『バランス✪彼のシャツが私の家に置かれた日』


「う、なんだよ。これ」
三浦はラーメンのスープをすすって顔をしかめた。

知らん顔して定食のしょうが焼きを食べ始める。

「うーん。おいしい」

ここの店はメインのラーメンは激マズだけど定食はきわめてうまい!

生姜が効いていて、豚肉は柔らかい。せん切りキャベツは新鮮だし、味噌汁は赤味噌。味噌汁の具の定番、豆腐と長ねぎの組み合わせは最高だ。



「おい、あんた。なんで教えないんだよ。みんな定食くってんじゃん」


見まわすと前からいた客も後から来た客も皆、定食を食べていた。

今更気がついたか、このゴキブリ男。

さっき『ラーメン屋に来てラーメン食わない奴なんて邪道だ』と偉そうにしていた三浦に仕返しが出来たようで嬉しい限りだ。

「あー聞かれなかったから」

「聞かれなかったからって、うーーー取り替えろよ!」

三浦はそう言って、しょうが焼きを挟んでいた箸をもつ私の手を掴み、横から顔を突き出して自分の口におさめてしまった。

「な! 何すんのよ!」
私のしょうが焼きを食べた! こいつ!

「あー、美味いじゃん、しょうが焼き」
もぐもぐと満足そうに口を動かす三浦。
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