《爆劇落》✪『バランス✪彼のシャツが私の家に置かれた日』
「なに?」

「殺虫剤とまずいラーメンのお礼」

「はい?」
私の胸に紙袋を押し付けるようにした三浦は、満足そうな笑みを浮かべた。

「じゃあ、俺、スーパーで買い物あるから。またな!」

そう言って三浦は片手を上げ、雑誌のモデルかという位、春風みたいに爽やかな笑顔を残し私の前から素早く姿を消した。

はーーー、よかった。
三浦から解放されたことに心からホッとしていた。

しかし、なにこれ。お礼って。

紙袋をしげしげと眺めた。

一応、お礼とかいう事しようとか思うんだ、あいつ……。

うっ、お腹が痛い。ぐるぐるってお腹がいい始めだした。ラーメンのせいだ。

スープは飲まないようにしたが、それでも無駄だったか。豚骨ラーメン恐るべし。

お腹をおさえながら、家まで出来るだけ急いで帰った。殺虫剤の入ったビニール袋が紙袋と擦れ合い、カサカサと音を立てていた。

なんだか、無駄な休日になってしまった気がしてしょうがない。

痛むお腹をおさえて、ジャージ姿でフラフラ歩く私は、きっと客観的に見て情けなくて格好が悪い。


お腹の具合がより激痛になってきた為、やむ終えずにコンビニへ向かうことにした。

最悪だ。あの男と出会ってから運が悪くなってきたように思うのは、絶対に気のせいじゃない。

「すみません、先にトイレ貸してください」
頭を下げて奥のトイレへ向かう。

「どなたか使ってるみたいですよ〜」
主婦のパートみたいな感じの店員さんが、気の毒そうな表情を見せた。

ほら……やばいくらいに……最悪…。

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