《爆劇落》✪『バランス✪彼のシャツが私の家に置かれた日』
⑧中川真澄〜恥ずかしい朝〜


朝、スマホのタイマー音にびっくりして目を覚ます。小さな音量にしておくと本当に目が覚めない。だから、犬の吠える声にしているが……それがまた心臓に悪い。

もう少し獰猛そうな感じではない声にできなかったのか? と疑問に思う。


昨日は、お腹の調子が悪くてあれから何も食べ無かった。

お腹空いたなぁ〜。

ぼーと起き出してカーディガンを羽織り電気をつける。


髪の毛を軽く束ねて洗面所へ行き洗顔をする。


ごしごしと洗わないように泡立てた洗顔料でゆっくりとこすらないように丁寧に洗うようになったのはここ最近。

それまではわしゃわしゃと洗っていた。
なんせ、若かったから。

若い時は怖いもの知らずだ。考えるより先に行動をしていた。それでも案外大抵の事が大丈夫だった。

ところが、20代後半になると大丈夫じゃないことが増えてくる。

ある意味で、体は心より正直だ。
心の痛みは、ある程度まで隠せても体の方は隠しづらいものだ。

心配事が重なると、眠れなくなり途端に目の下にクマが出来る。ストレスがたまると甘い物に走り過ぎて、大人ニキビが顎に出来る。肌もカサカサ、化粧のノリも悪い。

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