《爆劇落》✪『バランス✪彼のシャツが私の家に置かれた日』
「あんた、元彼のカップ捨てた?」
唐突に聞いてきた三浦。
「は?」
「カップ、いらないだろ? 別のを買ってやったんだから。当然、捨てるだろ」
買ってやった? 恩着せがましい男だ。勝手にお礼だとか言い出して、無理に渡したくせに! しかも、前のを捨てようが捨てまいが私の勝手だ。
「……」
「いや、もしかしてあんたのことだから
捨てるのも面倒とか思ってんじゃねえ?」
爽やかな顔してなんなんだろ、この人。無視よ、無視。
それからも訳のわからない話題をふってくる三浦にイライラしながらも耐えてクロワッサンをほおばった。
話好きな男にロクな男はいない。
出来るだけ早く食べて店を出てしまおう。そうすれば、こんどこそ三浦と永遠におさらばだ。
「あつっ」
慌てて口をつけたカフェラテは、思う以上に熱かった。
今日ほど、ホットな飲み物をチョイスした自分を悔やんだ事はないように思う。
まずったぁ、なんでアイスカフェラテにしなかったんだろう。
熱過ぎて早く飲みたくても飲めないじゃない!
フタを開け、ふうふうと息をかけ一刻も早くカフェラテが冷めるようにと願った。