《爆劇落》✪『バランス✪彼のシャツが私の家に置かれた日』
「はなっ!!」
抗議の言葉を発しかけた私は、三浦の手がお尻のあたりに来てさっと上の方向に動いたのを感じた。
「!//////////」
嘘!
まさか!
マジか私……。自分で自分が嫌になってきた。
体中が恥ずかしさでいっぱいになっていた。瞼をぎゅっと閉じる。
あちゃーーーーっ。朝からやらかしてる……うかれてノウテンキすぎた。
ファスナーだ、ファスナー。
なんてことだろう。私ってば! 恥ずかしいにもほどがある。
スカートの後ろにあるファスナーを開けっ放しでここまで歩いて来たかと思うと、顔から火が出そうに恥ずかしい。
火が出て焦げついてもいいくらいだ。いっそ、焦げてくれた方が顔が見えなくなってありがたい。
おでこに左手をあてて自分のおっちょこちょいな性格をはげしく後悔した。
スカートのファスナーをあげ忘れていたことに、あの三浦が素早く気がつき追いかけてきてくれて、さりげなく周りからカバーしながらあげてくれたのだ。
なんてことだろう……。
恥ずかしさ倍増。
会話をほぼ無視していた相手に助けられたこの敗北感たるや半端ない。
穴がなくても入りたい。どこかへ避難したい。
ファスナーを上げ忘れるなんて女失格だ。いや、男だったら余計にまずいか。
なんにしても、やはり三浦と会ってからロクなことが無い。
そんな風に人のせいにする私は、きっとロクな女じゃない。
予期していなかった最悪の事態に、その場で私は、ただ……うなだれるしかなかった。